kei-bookcolorの文庫日和

文庫の良さを一緒に味わいましょう!

『Unnamed Memory』古宮九時(著)青き月の魔女:ティナーシャと、呪いを受けた王太子:オスカーの物語を読み始めました!

大きなイベントが目白押しの作品

『Unnamed Memory』は現在絶賛放送中のアニメです。
たまたま見てしまったんですが、、思いのほかハマってしまいました。

どっからどうみても、大陸一の魔女と、大陸一の剣士が織りなす素敵な御伽噺です。
文庫ではないのですが、アニメは途中までしかやってくれないと思いますし、続きが気になってしまって、思い切って購入してしまいました。

しかも電子書籍を合本版で。

現在は、2巻の半分まで読み終わっています。

アニメを見ていても思いましたが、実際に小説を読んでみると、なお実感するのですが、、
とにかく大きなイベントが、惜しげもなく、ふんだんに、ぎっしりと、たっぷりと、詰め込まれた作品です。

物語は、ファルサスという大国の王太子:オスカーが、青き塔に棲む青き月の魔女:ティナーシャと出会うところから始まります。

青き塔は、いくつもの仕掛けや罠が待ち受けていて、それらの試練をすべて攻略し、最上階に到達すると、青き月の魔女が、達成者の望みを叶えてくれる。

ファンタジー作品で、勇者には付き物のダンジョン攻略的なことを、オスカーはたった一人でやり遂げることになります。
しかも、ちょっとそこら辺まで散歩に行ってくる、くらいの軽さでです。

しかもしかも、それが1巻の最初の第1章なのです。

普通の漫画やアニメだったら、これだけで1冊分は語ることができるはずです。
または数冊に渡って語られることもあるかと思います。

それが本当に6巻あるうちの1巻目の第1章という短さです。
ダンジョン攻略は、この物語にとっては、序章でしかないのです。

まずは2人が出逢うことが重要だからです。
世界中で時間は流れていても、物語は止まっていたのです。
2人が出逢って初めて、物語は動き出したのです。

オスカーとティナーシャは、1年間の契約を結びました。
1年間、ティナーシャはオスカーの守護者になります。
おそらくは、この1年間を描く物語なのでしょう。

アニメの1話の冒頭で、下記のような告知があります。
 青き塔に棲む魔女
 呪いを受けた王族
 時を書き換えられるのなら何を望むのか
 すべては塗り替えられる物語である

 時を書き換えるということの意味、そして、すべてを塗り替えるとは、どういう意味になるのか?
 最初っから、いろんな憶測を呼ぶ作品ですが、先の展開を推理しながら読むのは、かなり楽しい作業になるように思われます。

ティナーシャについて

なんて可憐な美少女なの!
というのが、第一印象です。
人間であった時から孤独で、魔女になってしまっても、死ぬことができなくて、何百年も孤独に耐え、一人で生き抜いてきた女性です。

魔女になってからは、あえて孤独な道を選んでいたようにも見えます。

ですが、誰よりも、たぶん人よりも、人に優しく、女神のように人を愛し、慈愛を以て接してくる愛情の深い女性なのだということが、徐々にわかってきます。

長く黒い髪と、陶磁器のような白い肌。
深い闇色の瞳は、夜を水晶に閉じ込めたかのようです。
時に、物憂げで静謐なその美貌は、男性だけでなく、女性も虜にします。
かくいう私も、ティナーシャの美しさに魅了されました。

ティナーシャは、停滞した物語の中で、ただ時間を消費するかのように、ひっそり生きてきました。

ですが、オスカーと出会ったことで、本当の物語が始まるのです。

人であるオスカーは、ティナーシャにとっては、一瞬で過ぎ去るほどの短い月日しか、一緒にはいられません。

オスカーを愛することは、オスカーが逝ってしまった後の、その後に続く何百年かを、今よりももっとずっと孤独に生きることになります。

まだティナーシャは、オスカーを愛し始めていることには気づいてないようです。
気づいてしまった時、それでもティナーシャは、オスカーの手を取ることができるのか。。

ティナーシャの気持ちが、どう変化して、どう動いていくのか。
ティナーシャが幸せをつかむ未来が存在するのか。
時を書き換えられるのなら何を望むのか。

様々な結末を創造しながら、2人の物語を楽しんでいきたいと思います。

オスカーについて

オスカーが青い塔の試練を攻略していく様子から物語は始まります。
すべての試練が描かれているというわけではなく、難解そうな試練に絞って紹介されているようです。

どれも、あっさり通過していくので、オスカーの強さや人間力が、格別のものなのだということを証明しているようなものでしょう。

何があっても前向きな姿勢を取り、後ろを振り返らないようにも見えます。
精神力も相当強そうですし、神経も図太そうです。

自分の欲しいものは、自分の力で勝ち取る。
勝ち取ると言っても無理やりではありません。
欲しいものを手にするために、それに見合った、相応しい自分になるための努力を、常にしているように思います。

意思が強く、頑固です。
こうと決めたら、何が何でも貫きます。
でも我武者羅というわけでもなさそうです。
自分が王太子であり、ファルサスで唯一の王位継承者だということも重々わかっていて、わきまえる時は、わきまえる行動もとれる男性です。

そして、とにかくカッコいいのです。
ただ立っているだけでも素敵です。
まだ、20歳という若さですが、落ち着いていて、王族としての気品も兼ね備えているせいか、もっと上の年齢にも見えます。

何でも純粋に捉え、何でも貪欲に学び、他の誰よりも吸収が早く、有能です。
ファルサス一強い剣士ですが、おそらく、大陸一の剣士になるのではないかと思われます。

ただでさえ強かったのに、ティナーシャに鍛えられますから、もっともっと強くなります。

そして、楽しいことが大好きです。
単独行動も大好きで、抜け出し常習犯でもあります。

沈黙の魔女に呪いをかけられているのにも関わらず、人生を悲観したり、諦めたりは決してしないタイプです。

人生に起こるすべてを楽しんで、人生に起こる問題に取り組んで、攻略しようとしているようにも見えます。

ティナーシャと出会った時も、本当の本当に最初は、単にティナーシャがいれば、毎日が退屈しなくて楽しいに違いない、と思ったのではないかと思われます。

ティナーシャと一緒に、たくさんの冒険をしたいと思ったのかもしれません。

ですが、同時にティナーシャへの恋心も持ったのです。
すぐに、それはどんどん強くなっていきます。
そして誰にも隠さず、ティナーシャが特別の女性であることを、周りに周知させます。

ティナーシャへの結婚のアプローチは、とにかくしつこいです。
そして父王や重臣たちにも、ティナーシャ以外を妻にする気がないことをはっきり主張します。

それにオスカーは、絶対的な自身があるように思います。
1年以内に、必ずティナーシャが結婚を承諾すると、思い込んでいるのです。

確かにこれだけのイケメンに、毎日口説かれたら、落ちない女性はいないでしょう。
例え何百年も生きている魔女であっても、例外ではないかもしれません。

ティナーシャが、どこまで拒否できるのか、いつ、どうやって落ちるのか、とても楽しみです。