SCISとは
社会的な影響を考慮して表に出せない事案を取り扱い、秘密裏に解決するために結成されたチームが、「SCIS(サイエンティフィック・クライム・インベスティゲーション・スクワッド=科学犯罪捜査班)」です。
具体的には、最先端科学技術の絡んだ事件が発生すると、緊急招集される特別捜査班ということになります。
捜査班のメンバーは6名ですが、2チーム(3名ずつ)に分かれて行動します。
個性豊かな2つのトリオが独自の捜査を行うんですが、その会話の掛け合いが面白いんです。
祐一&最上博士&長谷部チーム
祐一は、インテリ風でまじめなお坊ちゃまタイプです。
正義感が強く、理想が高く、冗談が通じないタイプです。
正義が必ず勝つと思っていそうな感じもします。
最上博士は、不思議ちゃんの美少女です。
科学に従って生きているし、科学のために生きていると言っても過言ではなさそうです。
科学の申し子であり伝道者です。
よって言動や行動は、およそ一般人の常識とはかけ離れているし、奇抜なものです。
なのでマスコット的な存在でしょう。
長谷部は大柄で強面ですが、その実、ひょうきんでムードメーカー的な存在でもあり、話し方や思考や発想が、一番、読者に近いキャラクターです。
どう考えても、相容れないタイプの3人ですが、相容れないまま仲良く一緒にいるところが、本作にエンターテインメントさを加える要因になっています。
玉置&森生&玲音チーム
玉置は、見た目も中身もチャラくて、ふざけている感じのタイプです。
わざとやっているようにも見えます。
よく祐一をムッとさせてますが、それに気づいてないのか、気づいていても気にしていないのか、判断がつきません。
森生はこちらのチームのマスコットですね。
一見、居ても居なくても、物語に影響がないキャラですが、居るとホッとする感じがします。
SCIS全体のバランスを取るために存在しているようにも感じます。
玲音は一見、まともでまじめそうに見えますが、ある意味においては一番、危ないタイプですし、思考もズレているように感じます。
冷静そうに見えて、その実、短気だったりもします。
全く違うタイプに見える3人ですが、実は、似たものトリオのような感じがするんです。
会話する時のノリやつっこみが、絶妙なバランスを取っていて、読者に笑いを与えることもしばしばです。
まともでない6人ですし、それぞれの正義があるようにも見えますが、実は、同じ正義感を持ち、同じ方向に向かって進んでいるようにも見えるんですよね。
その微妙な会話の駆け引きを、ぜひ味わってみてください。
登場人物紹介 SCISチームメンバー
小比類巻祐一
警察庁刑事局刑事企画課の警視正。34歳。帝都大学理工学部出身。SCISの指揮官。5年前にがんで亡くなった妻を、ずっと想い続けている。
最上友紀子
警視庁SCISのアドバイザー。元帝都大学教授で世界的にも有名な天才科学者。祐一の大学の同窓生で34歳。甘党で、爬虫類好き。見た目が、おしゃれな中学生にしか見えない童顔の美少女。
長谷部勉
警視庁捜査一課第五強行犯殺人犯捜査第七係係長で警部。47歳。バツイチ。独身。大の映画好き。アニメにも詳しい。鬼瓦のような顔。
玉置孝
警視庁捜査一課第五強行犯殺人犯捜査第七係の捜査員で巡査部長。結婚7年目。8歳の長男、7歳の長女がいる。愛妻家。できちゃった結婚。35歳。長身。全体的にだらしない感じ。軽薄かつ非常識な感じのイケメン。
山中森生
警視庁捜査一課第五強行犯殺人犯捜査第七係の捜査員で巡査。ぽっちゃりとした子熊のような体形。大きな黒縁めがね。26歳。見た目40歳、体力40歳、中身は中学生らしい。
奥田玲音
警視庁捜査一課第五強行犯殺人犯捜査第七係の捜査員で巡査。29歳のクールビューティ。目鼻立ちがはっきりした冷たい感じの美人。そして死体愛好者。
SCIS 科学犯罪捜査班Ⅱ 天才科学者・最上友紀子の挑戦
カフェで飲む水だしコーヒーは、確かに、飲みやすくておいしいですよね。
これまでの人生で水だしコーヒーが、ホットなのかアイスなのか、そんなことを考えてみたことはなかったですね。
当然のように、アイスコーヒーを飲みたい時に注文していました。
カフェなのに、わざわざアイスコーヒーをレンジでチンして、ホットで飲む。
ある意味斬新です。
逆転の発想とでも言うんでしょうか。。
カフェでホットコーヒーを楽しみたい場合は、やはり、ホットコーヒーのラインナップから選んだ方がいいですよね。
豊かな香りも楽しめますからね。
よみがえる死者
まずは、ウイルスとは何かという問題です。
われわれ一般人には、細菌とウイルスが同じもののように感じられますが、この二つは完全に別モノのようです。
42-43ページで最上博士の解説があります。
細菌は生物ですが、ウイルスが生物か無生物かは、はっきり答えが出ていないようなんです。
ですが、ウイルスには細胞自体がないということは、はっかりわかっているようなので、つまり、自己複製できず、他の生物の細胞に感染しないと増殖できない物質ということになるんです。
そしてウイルスは、たんぱく質でできた殻と、遺伝情報の入った核酸だけで構成される物質なのだそうです。
細菌に感染した場合は抗生物質が処方され、ウイルスに感染した場合は、抗ウイルス薬が処方されるということになります。
ですがウイルスは増殖と変異のスピードが速すぎるため、抗ウイルス薬がなかなか効かない、変異に追いつけないということになるのかな?と思います。
それじゃあウイルスは、生命にとって、地球にとって何のために存在する物質なのかという問題です。
ウイルス進化論という考え方があるそうです。
56-58ページで最上博士と祐一が解説しています。
ウイルスは、地球上の生物を変化させるために存在する物質で、人類はウイルスによって今の人類に進化したという考え方です。
進化とは、生物のDNAが物理的に変化し、有益な遺伝子を新たに獲得するほどの突然変異が起こる現象なのだそうです。
つまり、サルよりも大きな大脳皮質を生み出す遺伝子を獲得したことで、人類は今の形に進化したということになるようです。
通常、生物は、遺伝子を親から子へと垂直に伝えていきます。
それを続けていても突然変異が起こる可能性は低く、もしくは途方もない時間を要します。
ですが、ウイルスに感染することによって、個体から個体へと、水平にものすごいスピードで新たな遺伝子を伝えることができれば、その生物は一斉に突然変異が起こることになります。
なぜならウイルスは、生物の細胞に感染し、そのウイルスが持っている遺伝子の一部を、宿主の遺伝子に、組み込むことができるからです。
生物がウイルスに感染すると、ウイルスの遺伝子が、生物の核の中に残ってしまうのです。
その残ってしまったウイルスが意味のあるもので、子孫に遺伝していくものだった場合、その生物の進化に繋がるというわけです。
ここからは個人的に思ったことなんですが、
ウイルスが人類に突然変異をもたらした時、感染しなかったモノたちが、サルなどの類人猿として残り、感染して生き残ったモノたちが、人という形を形成した可能性もあるのかなと思いました。
そうなってくると、問題になるのは、ウイルス感染が流行っている時期に、みんなが一律に感染しないと、進化に出遅れる可能性があるということです。
ですが知っての通り、ウイルス感染は生命の危機にも繋がります。
人が大脳皮質を持つ前であれば、自分の体の痛みや苦しみ、家族や友人などの近しいモノたちを失う哀しみに堪えられたかもしれません。
ですが、自我を持ってしまった人類にはもはや、ウイルスは敵でしかなく、受け入れることはできません。
進化には大きな痛みと苦悩が伴うということになるのでしょう。
そして今、世界中で、科学に関わる人間が目指している先にある道はすべて、進化や不老不死へと繋がっているということなのかもしれません。
肝心の物語はというと、ゾンビもののエピソードです。
現実にはあり得ないわけですけど、あり得るとしたら、どんな感じになるのか?
ゾンビになった人に意思が宿るのか?
その辺を想像されて描かれているのでしょう。
なかなか発想できないストーリー展開かなと思いました。
現代の科学でゾンビを実現しようとするのは、やはり難しいことなのだと思います。
仮想された死
VRは、どこまで脳を錯覚させることができるのかがテーマのエピソードでした。
VR、、実はまだ未経験なんです。。
やり始めたら、現実世界に戻って来れなさそうなので、少し怖い気もして、トライすることを躊躇っています。
VRには、人類をユートピアに導く可能性も、デストピアに導く可能性もあるということが語られてしました。
科学は正しく使うことも、あえて使わないという選択をすることも、そして「深淵」をのぞくような使い方をすることもできるのだなと思いました。
凝固する血
最後はナノテクノロジーを題材にしたエピソードでした。
216-217ページで最上博士が解説していますが、「ナノ」とは長さの単位で、一ナノメートルは、分子レベルの大きさに相当するほどの小ささを表す単位なのだそうです。
ナノサイズの物質を取り扱う技術がナノテクノロジーで、ナノサイズのロボットを「ナノボット」と呼ぶのだそうです。
このナノサイズの技術が実用化されれば、病気で闘病生活に苦しむ時間が減る可能性が高くなります。
病気と闘うのは、個人ではなく、個人の代わりに科学が闘ってくれる未来が来てくれたら、最後まで幸せに生きていけるのかもしれないなと思いました。