kei-bookcolorの文庫日和

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『お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件』佐伯さん(著)をご紹介します!パート②

ラブコメ好きにはたまらない、ラブコメが苦手な方でもすんなり読める作品です!

私の場合、コテコテのラブストーリーは、こっ恥ずかしいので、読みながらどんどん苦しくなっていき、何度も何度も読書を中断して、苦しみながら時間をかけて、やっとの思いで最後まで読破するというパターンが多いんです。

実は、最後まで読むことができず、断念したラブコメもありました。

本作もご多分に漏れず、設定よろしく主役の二人が、お部屋でラブラブな感じになって行きます。巻を重ねるごとにどんどんと。

それでもですね、なぜか、読むことに、あまり苦しさを感じさせません。
すーーと、読んでいける感じなんです。
曖昧な表現ですいません。

とにかくですね、多少特殊な設定はあるんですが、一般的な騒動やイベントを経験していき、段階を踏みながら二人が恋に落ちていくラブコメなんです。

王道中の王道だと思います。

ですが本作は、なぜか、苦しさはなく、逆に読むスピードが加速していく作品なんです。

ちょっと満ち足りた気分にもなる作品だと思います。
この感覚も、いつか単語にして説明できたらいいのですが、今は、残念なことに、感覚でしかとらえることができません。

周と真昼は、一見、今時の若者のようではありますが、一昔前の世代のようにも感じます。
純情と言うのか、古風と言うのか。
どうやら、恋は生涯でただ1度きりだと決めているようなんです。

高校一年で、その相手に出会ってしまったわけです。
人生は長いですから、焦る必要もありません。
友達であり、恋人であり、家族でもある。
そんな二人の関係を永遠に続けることが大事なんだと思います。

主役の二人のペースに合わせて、ゆっくりじんわり心に響いてくる感じを味わえる作品です。
じれったくても、末永く、作品と二人の世界を楽しんでいきたいと思います。

お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件3

前巻のあとがきで、作者からの予告があったのですが、本巻では、真昼がちょっと積極的に動き出します。

本巻は、周と真昼が高校二年生になった新学期から始まり、GWまでの約一か月間のエピソードが描かれています。

ラブコメの王道ですので、新学期のクラス替えではもちろん、周と真昼が同じクラスになります。

そして二人の手助け隊である、樹と千歳も同じクラスになります。

周はこれまでどおり、学校では、真昼とは他人として過ごそうとしていたようですが、それを真昼が許しません。

多少強引な千歳のパワーを借り、真昼は自然な形で、周に近づいていこうと画策します。

うまく周りの目をごまかしながら、学校生活でも徐々に近づいていく二人。

プライベートはというと、遠慮なしに密着しだします。
これで付き合っていないなんてことは、あり得ない!と思うほどには、距離の近い、深い関係になってきていることは確かです。

ですが、素直になれない二人は、言葉では、恋愛関係を否定し続けています。
これもある意味王道なんでしょう。

互いに、好きであることを自身では認めているのですが、過去に深い傷をおった心を抱えている二人ですから、相手から異性として好かれているかどうかについて、自信が持てないのだと思います。

あとは一線を越える勇気を持つだけなのに!と歯痒い、じれったい時間が続きます。

ところで、二人が通う高校では、間違いなく、真昼が学校一の美少女ですが、この学校には王子様と呼ばれている男子がいます。

陸上部のエース門脇優太君です。

優太は名前のとおり、人格の出来上がった好青年です。
そしてもちろん、お約束のように、周と真昼のクラスメイトになります。

優太も周の隠れた魅力に気づき、周になつくようになります。
優太の存在が、今後、物語にどんな影響を及ぼすのか、ちょっと楽しみでもあります。


お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件4

本巻は、GW明けから始まり、中間試験を経て、6月初旬の体育祭の日までの約一か月間のエピソードが描かれています。

もうご存じかとは思いますが、本作は、少し前にアニメ化されました。
アニメで描かれていたのは、この4巻までになります。
よって、アニメを見た方は、この巻の最後に何が起こるのか、わかってしまっていることでしょう。

本巻は、周と真昼の物語にとっては、最重要な巻となっています。
ここが、ある意味において、一つの区切りとなりますので、読み始めた方は、この4巻までは一気に読破したほうがよいかと思います。

ここまで来ても、相変わらずヘタレな周は、自分の気持ちは認めることができても、真昼の気持ちについては、自分なんかが異性として好かれるはずはないと、後ろ向きな考えを永遠に続けていました。

もうとっくのとうに、真昼のいない人生なんてありえないと認めていますし、真昼を誰にも譲る気はないとも思っているのですが、そこはそう、ラブコメです。

そう簡単に、「好き」とは言えませんし、問題を先送りにして、とりあえず、自分が真昼の隣に並んでもいいと、世間が認めてくれるような男になろうと、トレーニングなんかを始めたりもします。

そこらへんは、前巻で友人になった王子様:優太が協力してくれたりもします。

正直、真昼からどう思われるかより、世間体を気にしているということについて、読んでいる方としては、ちょっと、ヘタレ過ぎるのでは?と思ってしまいますが、まあ微笑ましい努力だなとも思うわけです。

真昼も周を「かわいい」と言っていましたしね。

本巻では、前巻以上に、二人のスキンシップがレベルアップして行きますので、お付き合いに至ってはないですけど、その初々しいラブラブ感が、読んでいる方としては、お約束のように楽しめる巻ではありました。

読者を楽しめるために、二人の関係が進展しないのでは?と疑いたくなるくらいには、十二分に楽しめる巻でもありました。

つまり、普段のスキンシップも何気なく交わす言葉も、全部、普通に恋愛している最中の会話だよね?って思うくらいには、インパクトのある場面がひっきりなしに登場します。

周も真昼も、そして読者にも、心臓に悪い、恥ずかしくて死ぬと、何かが刺さってくるような、というか何かに撃ち抜かれたような気分を味わうことになります。
うかつに電車の中などで読むと、自然と顔がニヤけかねませんので、注意が必要です。

羞恥心で悶える周と真昼を見るのは、とても楽しいものです。
そこはそう、読者の特権なのでしょう。

そして、次の巻からが、ある意味においては、物語の本当の始まりになるのかもしれませんね。