やめられないシンデレラストーリー
清らかで愛らしく、そしてか弱い少女が、王子様に見初められて溺愛される。
自分を見つけ出してくれた唯一の人に、生涯、愛され守られる。
そういうラブストーリーは、世の中に溢れています。
最終的にはヒロインが、幸せになるということもわかっています。
ですが、なぜでしょう。
結末が分かっていても読みたくなってしまうものなんです。
女性であれば、誰しもそう思うのではないでしょうか。
それはだぶん、どんな女性でも心の奥底に秘めた、お姫様願望があるからなのだと思います。
どんなに隠しても、やっぱり、王子様にさらわれてみたいという願望は、心の中に存在し続けているのだと思います。
いつか、白馬に乗った王子様が、私を迎えに来てくれる。
私の世代では、王子のモデルは、『キャンディキャンディ』のアンソニーになります。(実際にはキャンディが見た白馬の王子は、アンソニーではなかったのですが。。)
ですが、夢見る時間は、とても短く、すぐに現実に引き戻されます。
現実にはありえないことだということも、重々わかっています。
そうは言っても、心の奥底にある乙女心を消すことはできません。
だからでしょうか。
現実に、自分の隣にいる男性は、自分だけを見てくれるのが当然だと、どっかで信じているんです。
もちろん、それは王子様ではないんですが、、
それでも、自分以外の女性に目を向けるなんてことは、考えもしません。
もし、そんなことが起こったとしても、すぐには信じられません。
だって、現実でのヒロインは、いつだって自分なんですから。
それが、いつの間にか、シンデレラの敵役になってしまっていたのだとしても。
それでも、自分の世界では、自分がヒロインなんだと思います。
だからなんでしょうね。
王子様を信じる気持ちは捨てられるはずがありません。
だからなんでしょうね。
女性は女性を恨んでしまうものなんです。
そうすることは、自分で自分を惨めにしてしまうことだと頭ではわかっていても。
心が理性を抑え込んでしまう。
隣にいる男性を想えば想うほどに、心は荒んで、ボロボロになっていきます。
なぜ、自分がヒロインではいけないのか。
自分にだって、自分だけを見てくれる王子様が、どこかにいるはずなのに。
なぜ、自分が選んだ男性は、自分の王子様にはなってくれなかったのか。
なぜ、自分が誰かの犠牲になるのか。
なぜ、自分は輝けず、誰かを輝かすための存在になってしまったのか。
つらい現実に我慢して、受け入れて生きていくしかありません。
そんな自分でも、物語の中では、自分をヒロインに投影することができます。
物語の中の自分は、誰かをうらやましく思うこともありませんし、誰も恨まなくていいのです。
心は満たされ、ただ、愛されているという幸せを感じているだけでいいのです。
だからこそ、いくつになっても、やっぱり、女性には必要な物語があります。
束の間でも夢を見ることができるシンデレラストーリーです。
黒狼王と白銀の贄姫 辺境の地で最愛を得る
ヒロインのエデルは、ゼルスという国の第二王女として生まれました。
清らかで、儚げで、妖精もしくは女神を思わせる美姫です。
ですが、ゼルス王と王妃の間に生まれた姫ではなく、ゼルス王と侍女との間に生まれた姫であったため、王妃と王妃の息子(王太子)と娘(第一王女)に虐げられ、軽んじられて生きてきました。
奴隷のような酷い扱いを受け、不遇な少女時代を一人で耐えて生きてきました。
ゼルス王は、エデルを気にはかけてくれるのですが、表立って守ってくれるわけではありません。
ゼルス王の中途半端な態度が、王妃と王妃の子供たちの神経を逆なでし、嫌がらせがどんどんエスカレートしていき、さらにエデルを苦しめていました。
しかしエデルは、どんなに虐められていたとしても、ただ脅えるだけで、誰かを恨んだり憎んだりすることはありませんでした。
その心の清らかさは、決して失いません。
虐げるものたちからすれば、醜い自分たちと同じように、エデルを汚してやりたいと思っていたのでしょう。
だからこそ、惨い仕打ちを続けていたのです。
ですがエデルは常に従順で、怯えながらも、素直に何でも受け入れてしまう。
そんな維持らしさや、愛らしさが、虐めをエスカレートさせてしまう要因にもなっていました。
ゼルス国内には、エデルの見方はただ一人だけでした。
そんなエデルが、戦争の和平交渉の一環として、隣国:オストロムの黒狼王:オルティウスのもとに嫁ぐことになります。
しかも、ある秘密を抱えたまま、オルティウスの王妃になってしまったのです。
オルティウスは、当然、エデルの秘密を知りません。
エデルの間違った噂(悪い噂)を信じていたので、かみ合わない夫婦生活がスタートしました。
ですがオルティウスは、噂にそぐわないエデルの純粋な美しさに、だんだん心を奪われていきます。
まるで女神を無条件に守る騎士のように、エデルの側を離れなくなっていきます。
やがて王という地位と、国をもかけて、エデルを守ろうとするオルティウスの全身全霊の愛を、エデルとともに受け止めてみてください。
黒狼王と白銀の贄姫2 辺境の地で最愛を得る
ヒロインのエデルは、ゼルスという国の第二王女でしたが、ある秘密を抱えたまま、隣国:オストロムの黒狼王:オルティウスのもとに嫁ぎました。
国と国が契約した、政略結婚でした。
ですが、エデルの秘密をすべて知ってしまったオルティウスは、逆にエデルを受け入れ、なんとしても、自分のこの手でエデルを守りぬき、幸せにすると自分に誓います。
やがて二人の間に、第一王子が誕生しました。
順風満帆の甘い結婚生活は、そろそろ2年を迎えます。
始まりが政略結婚だったため、恋人同士の期間が全くなかったエデルとオルティウスですが、ここにきて初めて、デートに出かけます。
普通の恋人同士がする普通のデートをしてみたい。
いつまでも初々しく、ラブラブの二人は、幸せを感じながら、平和で穏やかなくらしを享受していました。
そんな二人の幸せを祝福しようと、ゼルス王(エデルの父)が、あるプレゼントを用意します。
そのプレゼントが、波乱の幕開けとなりました。
エデルとオルティウスが、全くあずかり知らないところで、すでに事件は起こっていました。
新たな陰謀も始まっていたのです。
ただ穏やかに、心安らかに、生きていたいだけのエデルに、敵は容赦なく、わなを仕掛けてくるのです。
やがてオルティウスは、国を取るか、エデルを取るか、選択を迫られることになります。
オルティウスは、国王としての葛藤と戦いながらも、エデルの危機には駆けつけます。
颯爽と登場するその姿がとても素敵です。
エデルと一緒に、キュンとなる感覚を味わいましょう!
黒狼王と白銀の贄姫3 辺境の地で最愛を得る
結婚後も様々な困難と危険に巻き込まれるエデルを、オルティウスとオストロム国が守り抜き、やっと、落ち着いた幸せな時間を過ごせるようになっていました。
二人の間に誕生した第一王子:フォルティスも、すくすくと育ち、もうすぐ1歳になります。
しばらくは、何の心配もなく、家族水入らずで過ごせると思っていた矢先に、隣国ヴェシュエから新書が届きます。
それは、ヴェシュエの王女:ベルベアラ(13歳)と、フォルティスの婚姻を求めるという内容の新書だったのです。
王族に生まれれば、恋愛結婚などはあり得ませんし、いずれは政略結婚することになります。
ですが、フォルティスはまだ1歳。
さすがに、政治利用するなど言語道断です。
オルティウスとエデルは、フォルティスを守るために、奮闘することになります。
ですが、この婚姻騒ぎには、別の事情が隠されていたのです。
オストロム国は、期せずして、無関係な騒動に巻き込まれることになります。
オルティウスは、降りかかった火の粉を払いのけ、国と家族を守らなければなりません。
そしてエデルも、王妃として王を支える存在になろうと必死になります。
これまでは、ただ守られるだけの妻でした。
ですが、エデルにだってオルティウスを救うことができるのです。
夫婦の絆で、国を守る。
二人の雄姿を堪能してください。
そのセリフが言いたかったのね!
本作の見どころ、もしくは定番は、
さまざまな危険に巻き込まれるエデルと、エデルの危機には、颯爽と駆けつけるオルティウスという構図です。
2巻と3巻で、颯爽と駆けつけたオルティウスが、放つセリフが、格好いいんです。
ああ、高岡先生は、このセリフをオルティウスに言わせたかったのね。
と読みながら感嘆してしまいます。
ちょっとベタで、ちょっとわざとらしさもあるんですが、
「その声は!」
「待ってました!」
と、心の中で歓声をあげながら楽しむことができます。
きっとあなたも、エデルと同じ気分が味わえるでしょう。