邂逅の珊瑚
正義が世界を股にかけた冒険の旅に出る的なお話でした。
懐かしい方々の元を次々と訪問していく正義。
その間、リチャードはどこで何をしているのか、全くわからないし、全然登場しませんでした。
もしかしてリチャード、出番無し?と不安になりましたが、最後にしっかり登場します。
リチャードは友達がいない人ですけど、正義もそんなに友達と呼べる人がいないように感じました。
本当に大事な友達は、ごくわずかなんですよね。
そしてその数少ないお友達は皆、グローバルな感じですよね。
外の世界に怖気づくこともなく、アタックしていく正義がカッコよく思えてきました。
本巻では、予想通りヴィンスの過去が明らかになりました。
そしてリチャードとの関係もはっきりしました。
ヴィンスがやろうとしていることも、何となく察しがつきましたしね。
ヴィンスと正義はリチャードにとって、ともに大事な存在なんですが、その意味合いは、全く違うものです。
正義はリチャードにとって、何よりも代えがたい存在です。
家族よりも恋人よりも友達よりも。
正義とリチャードの関係は、友達よりももっと深いものであり、いろんなことを超越しているような感じもします。
正義もリチャードも、互いに愛する女性がいますよね。
でもそれって、本当なんですかね?
愛する女性がいるということを言い訳に使っているようにも聞こえるんです。
だって、その女性に何か事件が起こったとしても、飛んで行って命をかけて助け出そうとはしないんじゃないでしょうか?
そういう何もかも捨てて、追いかけて一緒にいようとする存在って、リチャードにとっては正義だけだし、正義にとってもリチャードだけなのではないんでしょうか?
愛した人がたまたま同性だったのだから、仕方ない。
それに正義もリチャードも、愛する女性と結婚できたとしても、、今更、体の関係を結ぶでしょうか?
そういう感じもしないし、もちろん、正義とリチャードが交際をしたとしても、体の関係までは結ばないような気がします。
だから、いっそくっついてほしいと切に願います。
読者としては。
表紙を見ると、リチャードは優雅に座っているように見えますが、実は違っていました。
最後まで読んでからこの表紙を改めて眺めると、リチャードが愁いを帯びた表情をしているような気がしてきます。
久遠の琥珀
オクタヴィアが登場しました。
思っていたほど非道な女の子ではなかったんです。
ヴィンスが何をしたかったのかもわかりました。
リチャードの周りにいる人たちって、基本、いい人なんでしょうかね。
悪人になろうとしてもなりきれない方々が揃っているといいますか。
結局みんな、リチャードを助けようとしてしまう性分なんですかね。
ただのおこちゃまの癇癪だったんですけどね。
大の大人たちが、女の子相手に、右往左往している感じが、ちょっとおかしかったですね。
そしてジェフリーの個人の志向には、驚きました。
なるほど、だからリチャードと正義の関係に対しても寛大だったんですね。
思えばこのシリーズって、イケメン男子ばっかり出てきますよね。
女子は申し訳程度にしか登場しないというか。。
まあそういうことも有りなのかなと思います。
正義のリチャードへの愛は、どうやっても恋にしか見えないんですけど、本人もリチャードもそれを認めようとはしないんですね、最後まで。
だって正義は、リチャードの美しさが増していくような感覚を感じてますよね。
それって、恋しい相手はかわいいとか、美しいとか思うのと一緒だと思うんですよね。
さらに、リチャードも正義を愛しているわけです。
愛する人に永遠に美しいと思ってほしいというのが恋心というものです。
リチャードが正義に見せる顔は、ほかの誰かに見せる顔よりもグンと増して、美しくなっているに決まってます。
誰だって、愛されたいと思う人には飛び切りの顔を向けるものですから。
だから正義は、より美しいと感じているとしか思えません。
しかし、やっぱり最後まで二人は認めないんですね。
友達のままなんですね。
読者としてはとても残念です。
でも物は考えようです。
恋愛関係になってしまったら、いつか終わりが来てしまうかもしれません。
友達のままのほうが、一生一緒にいられる。
そう思うしか救いようのない二人です。
リチャードと正義が、輝く石を見つめている表紙です。
思えば正義のもとには、宝石が集まってくる習性があるようです。
不思議ですよね。
なんでみんな、正義に預けたがるんでしょうか?
日本人からすると正義とは、重要な意味を持つ単語ですが、外国人には関係がない発音です。
容姿からするとリチャードの元にあったほうが輝けるようにも思うんですが、、美しすぎるものは人を滅ぼすとも言います。
ですが正義はなんとなく大丈夫な気がするんですよね。
輝きのかけら
短編集です。
前巻は、本作が終わってしまったのかと思うほどの展開で幕を閉じました。
ラストはあっけなかったのですが、確かにすべて解決しましたし、正義も納まるところに納まった感じではあったし、一つの終わりといえば、終わりですよね。
だから今回は、これまで語られなかった秘話の物語なのでしょう。
最初は谷本さんのその後です。
岡山で立派に先生を務めてます。
でも相変わらずの石熱は顕在で、生徒たちとの友情を深めているようです。
お次はヴィンスです。
ヴィンスがリチャードのもとにいた頃のお話。
リチャードとお別れする直前の時期のようです。
その次は、正義と下村が友情を育むに至ったお話でした。
次は、リチャードとジェフリーの幼少時代のお話。
ジェフリーの初恋はやっぱりリチャードなんですかね。
リチャードの初恋もジェフリーのだったのかもしれませんね。
そしてその次はとても長いお話です。
本巻の半分くらいを使用しています。
ジェフリーとヨアキムの出会いからこれまでのすべてです。
ジェフリーはヨアキムにある意味、一目惚れしたのかもしれませんね。
ジェフリーは伯爵家の人だし、容姿もよくて、頭もよい。
なんでも持っているのに、幸せだけは持ってない人なんですね。
伯爵家の3男衆は、幸せを手にすることへの罪悪感が半端ない感じですよね。
でも自分以外の2人を幸せにしてやりたいとか願っている。
無駄な努力をずっとしている3人のように思えてきました。
そんな中、一番の貧乏くじジェフリーが、ヨアキムと出会ったことによって、幸せになっていくお話です。
良かったですよね。
そして伯爵家は、そのうち断絶してしまう可能性も高くなりました。
養子を取らないとね。
その次はまたしてもジェフリーとヨアキムのお話で、最後にリチャードと正義に戻ってきます。
冒頭の谷本さんのお話の続きと言ってもよさそうです。
二人が相変わらずなので、ホッとしますね。
そして、もっと二人の冒険を見ていたいと思ってしまうわけです。
初めて、正義がいない表紙のようです。
でも正義も出てくるので大丈夫です。
たぶん、ジェフリーとヴィンスとリチャードですかね、たぶん。