kei-bookcolorの文庫日和

文庫の良さを一緒に味わいましょう!

【思い出を大切にするための絵本】『わすれられないおくりもの』スーザン・バーレイ(著)をご紹介します!

今を生きるこの瞬間も、いつかは思い出に変わる

最近ご紹介した『思い出のとき修理します』という作品の中で、
「生きている人には思い出が必要なんだ」
というようなニュアンスのセリフがありました。

時は、自分だけのモノです。
でも過ぎ去った思い出は、一緒に過ごした人とも共有するモノです。
だから、思い出は自分だけの財産ではないのかもしれません。

そして、過去の行いがどうであったかの評価は、現在の自分が証明して行くのだそうです。

過去のせいにして生きるのか、過去のおかげで生きていくのか、

自分の人生の評価をしつつ、アッという間に過ぎ去ってしまう何気ない日常を大切に、生きていかなければなりません。

今回ご紹介する絵本は、老齢のアナグマが主人公です。
長く生きてきたため、誰よりもかしこく、誰よりも優しく、森の友人たちの生きる手助けをしながら、年を重ねてきました。

だから自分はもうそんなに長く生きられないということも知っています。

後に残していく友人たちが、これから先もずっと、生きていけるようにと、決して忘れることのない思い出を贈り物として残して行きます。

とても切なくなる絵本です。

わすれられないおくりもの

作者:スーザン・バーレイ
訳:小川 仁央
出版社:評論社
発売日:1986/10/1
サイズ:26.04 x 0.64 x 21.59 cm

老齢のアナグマは、何でもよく知っていました。
知らないことはないくらい、何でも知っていました。
だから、死んで体が無くなったとしても、自分の心が残り、生き続けることを知っていたのです。

森の友人たちには、自分が逝ってしまった後のことも、ちゃんと話していました。

ある朝、とうとうその日がやってきました。
その事実を知った友人たちは、悲しみに暮れて行きます。

やがて、友人たちは誰ともなしに集まって、アナグマとのそれぞれの思い出を、語り合います。
みんなが何かしらの思い出を持っていました。

優しいアナグマは、ひとりひとりに、知恵や工夫を残していってくれたのです。
みんなが助け合って生きていけるように、宝物となるような思い出をたくさん残していってくれたのです。