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『リリー骨董店の白雪姫』の読むポイントをお伝えします!

時代背景

舞台は19世紀の英国。ヴィクトリア朝時代です。
物語として読むなら、やはりヴィクトリア朝が一番素敵な時代設定なのかもしれません。
世界中の女性が、当時の貴族社会に憧れを持っているのではないでしょうか。

ヒロインのクレアも、相手役のジェレミーも、伯爵家の息女と子息なので、当時の貴族生活の一旦を垣間見ることができると思います。

例えばクレアが身に着けている衣装の描写が細かいですし、クレアが営む骨董店はアンティーク・ジュエリーを取り扱う店なので、ジュエリーの描写も素敵です。
骨董店自体の内装も、趣がある描写になっています。

そして、ジェレミーは、「ライト&クーベリック」という王室御用達店を営む宝石商です。
さらにジェレミーは、プレゼント魔でもあります。
様々なアクセサリーや衣装ををクレアにプレゼントしていきます。

この時代の貴族生活を知りたいという方にも、ぜひ読んでいただきたい作品です。


『リリー骨董店の白雪姫』読むポイント!

題名の謎
まず「リリー」という名称ですが、こちらは、ヒロインのクレアの名前が、クレア・リリーなので、ラストネームから取ったものと思われます。

じゃあ「白雪姫」はどっから出てきたのか?
もちろん白雪姫とはクレアのことを指しています。

表紙の絵をみるとわかりますが、クレアの髪は真っ白なんです。
白雪姫は黒髪なのに、なぜクレアが白雪姫になるのか?

答えは、『ラプンツェル・ダイアモンドの涙』の序盤にでてきます。
クレアにとっても、物語にとっても重要になるテーマです。


ジェレミーはプレゼント魔
もともとジェレミーは、女性を美しく変身させるのが趣味なんです。
周りにいる女性に似合いそうなアクセサリー等を見つけると、ついつい買ってプレゼントしてしまいます。

もちろんクレアにもです。
クレアはジェレミーにとって、決して特別ではなかった。
それが特別になる瞬間があります。

なぜジェレミーがプレゼント魔になったのか?
そしてなぜ、クレアが特別になるのか?

二人が恋に落ちるきっかけを楽しんでみてください。


クレアの真の能力
クレアには、骨董品の声が聞こえるという特殊能力があります。
ですが、クレアの能力は骨董品に限られているわけでもありません。

ジェレミーの本当の姿や、2人の兄(セドリック・バート)たちの深い愛情など、目に見えないものを見る力もあるように思います。

『海の底のエメラルド・プリンセス』で友人となる「ブラウン家の4姉妹」のことにも気づく場面があります。


言い得て妙な表現
『ラプンツェル・ダイアモンドの涙』P92で、ジェレミーがセドリックに、名前を呼ぶことの定義について語ります。

セドリックが言いくるめられてしまいました。


名言1
『海の底のエメラルド・プリンセス』P144で、クレアが「苦手」と「嫌い」の違いについて話します。
亡くなった母から聞いた名言です。
確かに、苦手でも嫌いになるとは限りません。


名言2
『海の底のエメラルド・プリンセス』P267で、ジェレミーが「わからない」という言葉の本当の意味について、自問自答しています。
「わからない」事柄について、なぜ「わからない」と言及することができるのか?
押し問答のようなテーマです。


リリー骨董店の白雪姫 ラプンツェル・ダイヤモンドの涙

表紙に描かれているのが、左からジェレミー・クレア・セドリックです。
題名にもある「ラプンツェル・ダイアモンド」も描かれています。

リリー骨董店の白雪姫 海の底のエメラルド・プリンセス

こちらの表紙も、ジェレミー・クレア・セドリックです。
「エメラルド・プリンセス」も描かれています。

リリー骨董店の白雪姫 トワイライト・ルビーの夜明け

セドリックが抜けて、クレアとジェレミーとオーガストが表紙です。
クレアとジェレミーが結婚するかのような雰囲気を感じます。
「レディ・アン・ジュエル」と「エデン・ブルー」も描かれています。
宝石たちも幸せそうに見えますね。